事業承継コンサルティングとは?事業承継の問題点と相談するメリット
2024.06.17 事業承継・相続

目次
中小企業の経営者が引退する際には、廃業と事業承継のどちらかの選択を迫られます。廃業する場合、それまでの取引先や従業員に迷惑をかけてしまうため、事業承継を模索している経営者は多いでしょう。
しかし、事業承継の際には税金や相続などの要因が複雑に関係するため、事業承継コンサルティングなどの専門家に相談することも大切です。
本記事では、事業承継コンサルティングを利用するメリットについて、事業承継時に発生する問題と併せて解説します。事業承継時に注意すべきことも把握できる内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
事業承継コンサルティングとは
事業承継コンサルティングとは、事業承継をスムーズに進めるために専門知識を生かしたアドバイスやサポートを行うサービスのことです。
事業承継とは、会社が持つ様々な資産を次の経営者に引き継ぐことです。事業承継には、親族へ引き継ぐ「親族内承継」、親族外の人へ引き継ぐ「親族外承継」、外部の企業に引き継ぐ「M&A」という3つのパターンがあります。
事業承継によって、会社が引き継ぐ資産は、有形資産と無形資産に分類されます。有形資産と無形資産の特徴については以下の通りです。
有形資産 | 無形資産 |
・不動産(事務所や店舗など)・機械などの設備・商品・現金 など | ・経営ノウハウ・顧客情報・著作権・商標権 など |
会社から資産を引き継ぐ際には、税金や法律などの専門知識が求められます。しかし、専門知識を持った人が周囲にいないと税金や資産を正確に算出できず、スムーズに事業を引き継げない可能性が考えられます。
そのような場合に使えるサービスが、事業承継コンサルティングです。事業承継コンサルティング会社は事業承継に関する専門的な知識を生かして、企業の事業承継をサポートします。
事業承継コンサルティングを受けるメリット
事業承継コンサルティングを受けることで、事業承継時のトラブル発生リスクを最小限にしつつ、スムーズに手続きを完了できます。ここでは、事業承継コンサルティングを受けるメリットについて解説します。
事業承継を計画的に進められる
スムーズに事業を引き継ぐためには、事前準備が重要です。一方で、事業承継は何度も経験する出来事ではないため、どのような準備をすればいいのかわからない経営者は少なくありません。
そこで事業承継コンサルティングを受けることで、計画的に事業承継を遂行できます。引き継ぐために必要なことをアドバイスしてくれるので、手間取ることがありません。
トラブルになるリスクを最小限にできる
事業承継をスムーズに進めるためには、経験や知識を持った専門家に相談することが大切です。
事業承継の際には、税金や相続などの要因が複雑に絡んできます。経営者が個人の独断で準備を進めてしまうと、想定していなかったトラブルに巻き込まれることもあるでしょう。
事業承継コンサルティングを受けながら進めれば、起こりうるトラブルを未然に指摘してくれる可能性があります。また、適切な対処法もアドバイスしてくれるので、最小限の手間で解決できるでしょう。
コスト面での負担を軽減できる
事業承継時にはさまざまなコストが発生するので、事前にある程度の資金を用意しておくことが大切です。
事業承継時に発生するコスト
- 相続税
- 贈与税
- 法人税
- 登録免許税
- 専門家への委託費 など
一方で、コストを正確に算出できないために過大に支払ってしまったというケースもあります。そこで、コスト面までアドバイスしてくれる事業承継コンサルティングを利用すれば、適切なコストで済ませられるでしょう。
とはいえ、コストを正確に算出してくれたとしても、譲渡会社側が資金を持っておらず支払えなければ本末転倒です。事業承継の資金を用意する手段として有効なのが、法人保険です。
法人保険を活用することで、事業承継時の資金繰りの対策になります。また、保険金を受け取ることで一部の税金を免除する制度もあるため、会社の相続時に発生する金銭的な負担を軽減するために有効です。
事業承継時の負担を最小限に抑えたい方は、法人保険に詳しい専門家へ相談してみてください。
事業承継コンサルティングを受ける際の注意点
事業承継コンサルティングのサービス内容は、会社によって大きく異なります。サービス利用時の混乱を避けるためにも、事前に注意点を理解したうえで相談するとよいでしょう。
ここでは、事業承継コンサルティングを受ける際の注意点について解説します。
報酬体系を事前に確認する
一般的な事業承継コンサルティングは、以下3つの報酬体系で提供されています。
- 月額報酬
⇒毎月決められた費用を継続的に支払う - 自社株評価
⇒事業承継の際に後継者に引き継ぐ株式の価額を決定する - 事業承継計画の策定
⇒事業承継計画を策定するまでの業務に対して報酬が発生する
月額報酬の相場は毎月10〜30万円程度で、サービスによっては、業務ごとに別途報酬が発生する場合もあります。
自社株評価は主に税理士や公認会計士が遂行する場合に多い報酬体系で、こちらも相場は10〜30万円程度です。
事業承継の策定に関する報酬では、起用する事業承継コンサルティングによって費用が大きく異なり、一般的には20〜300万円が相場です。
業務範囲は会社によって異なる
一般的に事業承継コンサルタントが担う業務内容は、以下の4つが挙げられます。
- 事業承継計画の策定
- 株価の算出や自社株式承継に向けた対策
- マッチングやDD(デューディリジェンス)の対応
- 補助金や支援税制などの紹介と申請サポート
上記の業務は、一般的な事業承継コンサルティング会社が提供しているサービスの一部です。詳細な業務内容は会社ごとに異なるため、詳しく知りたい場合は直接問い合わせてみてください。
実績が豊富な会社を選ぶ
事業承継が成立するまでには、さまざまな工程を踏む必要があるため、実績が豊富な会社ほどスムーズに進めてくれます。業者によっては自社のホームページにこれまでの実績数が公表されているので、依頼する前に確認してみるとよいでしょう。
また、事業承継コンサルティング会社の中でも、強みや専門分野が異なります。例えば、事業承継コンサルティング会社ごとに「中小企業の事業承継が得意」「親族外の承継実績が豊富」といった特性があります。
これまでの実績に加えて、強みや専門分野も考慮してコンサルティング会社を選ぶことで、よりスムーズに事業承継を進めてくれるでしょう。
法人保険を活用して事業承継をスムーズに
事業承継時には、税金面での問題や相続に関するトラブルなどが発生する場合もあります。そのようなトラブルを避けるためには、専門知識を持った事業承継コンサルティング会社に相談することも大切です。
とはいえ、事業承継コンサルティングを受けてスムーズに事業承継を進められたとしても、税金をはじめとしたコストが発生します。金銭的な負担を軽減するためには、法人保険を活用する方法があります。
後継者や自社従業員に負担をかけないために、ぜひ法人保険で対策を取ることを検討してみてください。

片岡 伸哉Shinya Kataoka
MDRT会員