法人保険の活用方法と注意点について解説
2024.06.17 企業財務

目次
本記事では、法人保険の活用方法について解説します。
加入する際の注意点も記載してますので、ぜひご参考ください!
法人保険とは?
法人が加入できる保険は大きく分けて2種類あります。
保険の種類 | 概要 |
生命保険(第三分野の保険) | 経営者や従業員の死亡・高度障害リスクに備える保険。貯蓄性のある商品もあり、退職金準備や福利厚生の一環として活用される場合もある。経営者や従業員の病気やケガに備えるための保険。医療保険やガン保険などが該当する。 |
損害保険 | 会社を経営する中で発生する事故やトラブルに備えるための保険。火災や事故で設備が損害を受けた時の保障や、第三者へ損害を与えた場合の賠償責任など。 |
上記2種類の保険は、保障(補償)の対象や範囲・適用条件が異なりますので、目的に応じて適切な保険を活用しましょう。
※2019年より法人向け定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いルールが変更されております。詳細は以下区分表をご参考ください。

引用:国税庁「No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」
法人保険を活用する方法4つ
1. 会社関係者や従業員、ご自身の家族の生活を守るための備え
法人保険は、経営者に万一のことが起きた場合の備えとして活用できます。
経営者が急に亡くなってしまった場合、従業員への給与や取引先への代金の支払いが滞ってしまう可能性があります。関係者や家族に負担をかけないために、当面の運転資金も含め日頃からの備えが重要です。
また、自身の退職後の備えとして保険を活用するのもよいでしょう。
2. 事業承継や相続への対策
事業承継や相続に備える目的でも、法人保険を活用できます。
経営者が亡くなった場合、急いで事業承継や相続を行わなければならないものの、ある程度の資金が必要です。
保険に加入しておらず資金もない場合、キャッシュフローの見直しや借入を検討するなどの対策が必要になってきます。いずれの方法でも時間がかかり事業の継続が困難になることも考えられます。
事業を円滑に継続するためにも、法人保険は有効な対策となるでしょう。
3. 従業員の定着率向上
法人保険を活用し従業員の福利厚生制度を充実させることができます。
病気やケガ、万一の際の備えとなるので、安心して働くことができるようになり、従業員のモチベーション向上・定着率向上の効果が期待できるのではないでしょうか。
参考までに、厚生労働省が公表している「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、離職者の7.6%ほどが退職理由に「給料等の収入」と回答しています。福利厚生も待遇面に含まれますので、手厚くすることで離職率低下要素のひとつになるかもしれません。
4. 経営に影響を及ぼすリスクへの備え
損害保険や経営セーフティ共済は、会社経営に影響を及ぼすリスクへの備えとして活用できます。
上述のように、法人保険にはさまざまな活用方法があります。
加入を検討する際は、目的やリスクに応じて適切な保険種類を選択しましょう。
法人保険に加入する際の注意点
法人保険に加入する際はキャッシュフローに注意が必要です。
保険料支払いは金銭的負担となるため、キャッシュフローを悪化させる要因になる場合があります。資金繰りに支障が出ない範囲で、保障額と保険料のバランスを考慮して加入することが大切です。
保険種類によっては、急な資金繰りに対応できる契約者貸付制度を活用することもできますが、解約返戻金の一定の範囲内となることや保険会社所定の利息がかかるため、注意が必要です。
また、2019年の税制改正以降、保険料の取扱いに関するルールが変更されており、税務取扱いについては将来的に変更されることもありますので、保険加入を検討される際には税理士もしくは所轄税務署へご確認ください。
法人保険は、事業保障対策や資産形成・事業承継・相続対策、雇用対策など多くの活用方法があります。適切な保険加入に、ぜひご参考ください!

片岡 伸哉Shinya Kataoka
MDRT会員