法人が生命保険に加入する目的は節税ではない!本当のメリット3つを解説
2024.06.17 企業財務

目次
法人税対策として生命保険へ加入した方がよいと聞いたことがある経営者は多いでしょう。
しかし、生命保険加入の本当のメリットは税金対策以外の面にあります。
本記事では税金対策目的で生命保険に加入することをおすすめしない理由と、本当のメリットを解説しておりますので、ぜひご参考ください!
節税目的で法人の生命保険の契約をおすすめしない理由
税金対策目的で法人の生命保険の契約をおすすめしない理由は、主に以下の2つです。
- 将来、保険金や解約返戻金を受け取る際に法人税がかかる
- 2019年から保険料の経理処理ルールが改正されている
ひとつずつ解説していきます。
将来受け取る保険金や解約返戻金に法人税がかかる
生命保険の保険料は一部損金算入できる場合があるものの、将来受け取る保険金や解約返戻金に法人税がかかる点に考慮が必要です。
保険料を支払った時点での法人税は抑えられても、保険金や解約返戻金は益金となり、課税のタイミングが変わる税の繰り延べにしかなりません。
2019年から保険料経理処理ルールが改正されている
2019年6月通達改正後から定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いが変わり、損金算入できる保険料の割合は最高解約返戻率に応じて変動します。
支払保険料として損金算入する額以外は資産計上となるため、税金対策にはおすすめしません。

引用:国税庁「No.5364-2 定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」
法人が生命保険に加入する本当のメリット3つ
法人が生命保険に加入するメリットのひとつである税金対策は効果は縮小したものの、他にも以下3つのメリットがあります。
- 自分(経営者)に万が一のことがあった時の備えになる
- 将来の退職金や設備投資のための資産形成ができる
- 役員や従業員の福利厚生を充実させることができる
あらゆるメリットを考慮したうえで、生命保険への加入を判断することが大切です。
1. 自分(経営者)に万が一のことがあったときの備えになる
死亡・高度障害の保障のある保険に加入することにより、経営者に万一のことがあった際の備えになります。
万一のことがあったとしても、会社は借入金返済や給料の支払いなど金銭的負担が継続して発生します。生命保険に加入しておくことで、保険金を支払いに充て、遺された人たちの負担を最小限に抑えるための備えになるでしょう。
2. 将来の退職金や設備投資のための資産形成ができる
貯蓄性のある生命保険の場合、加入してから一定期間を経過すると、解約返戻金を受け取ることができる可能性があります。資産形成に活用でき、保険種類や契約内容によっては、支払った保険料を上回ることもあります。多くの経営者が自身の退職金や大きな設備投資への備えとして活用しています。
利益の一部を少しずつ資産形成に充て、将来に備えることも検討されてはいかがでしょうか。
ただし、保険金や解約返戻金は原則課税対象となるため、受取時の納税も考慮したうえで資金繰りをすることが大切です。
3. 役員や従業員の福利厚生を充実させることができる
生命保険を活用し、役員や従業員の弔慰金や退職金・入院保障などを準備することもできます。福利厚生制度のひとつとして新規採用のアピールポイントにもなるのではないでしょうか。
また、役員・従業員の満足度が上がり離職率の低下にも繋がるかもしれません。
法人で生命保険に加入する際は、目的を考慮しましょう!
定期保険や終身保険は、被保険者(経営者)が死亡・高度障害の際に保険金が受け取れる生命保険です。
定期保険は保険期間をあらかじめ決めておく(満了後は保障がなくなる)ことに対し、終身保険の保険期間は一生涯という違いがあります。
一定期間の保障の確保を目的とする場合等は、定期保険を選択すると保険料負担を抑えることもできるでしょう。
養老保険や医療保険は福利厚生制度のひとつとして活用することもできます。
養老保険は満期があり、死亡保障と貯蓄の両方を兼ね備えた生命保険です。
被保険者に万一のことがあった際は死亡保険金を、何事もなく満期を迎えた際は満期保険金を受け取ることができるため、退職金積立にも適しており、福利厚生制度のひとつとして活用するのもおすすめです。
医療保険は病気やケガによる入院・手術などを保障する生命保険です。
経営者自身はもちろん、役員・従業員も加入することにより福利厚生制度のひとつとして活用することもできます。
生命保険は経営者の身に何か起きた時の備えや将来のための資産形成、福利厚生制度の充実などに活用できますので、加入をご検討の際はぜひご参考ください!

片岡 伸哉Shinya Kataoka
MDRT会員